Negative Finder

気づいたり、再確認したり、思いついたこと書くスペース。日記兼用。

乗り物の性能

あなたが、広くて知らない世界を見て回って楽しむとして、どんな乗り物に乗りたいですか?
時間は、腐るほどあります。



速い方がいいでしょうか。
たくさんの景色を見て回れますが、あまりに速すぎると、周りの景色がよく分からないかもしれません。他の人が乗っている台と、一緒に回るのも難しいかもしれません。


遅い方がいいでしょうか。
のんびりと細やかに見て回れそうですが、あまり遅いと回れる景色は少なくなってしまいます。後ろから急かされるかもしれません。こちらも、他の台と一緒に回るのに苦労しそうです。


大きい方がいいでしょうか。
見渡せる景色の範囲が広くなりますが、小回りは利かなくなりそうです。足元に落ちているモノも見落としてしまうかもしれません。座席にはゆったり座れそうですし、他の人の乗り物を運んであげられるくらい大きければまた特別な価値もあるのでしょうが、他の乗り物と衝突してしまう可能性も高くなるかもしれませんね。


小さい方がいいでしょうか。
他の人の台に気付いてもらえないかもしれません。その観光には余興として一部競争があるかもしれません。その時、小さな体躯は不利に働くかもしれません。逆に言えば、競争しなくて済むのであれば、他の人の乗り物に道を譲れるのであれば、小回りも利き、マイペースに観光出来るかもしれません。


頑丈な方がいいでしょうか。
これは頑丈な方がいいかもしれませんね。ただし、「壊れたから修理する」という景色を見逃すかもしれません。修理の過程で得られる限定品のお土産も無いとは言い切れません。


燃費はどうでしょう。
どんな乗り物であれ、駆動するためのコストはかかります。広大無比な世界を回るためのコストは、燃費で差が出ます。燃費がかかる乗り物は、その観光名所の1つ1つで降りて立ち止まり、金策を練らないといけないかもしれませんし、それもまた娯楽の一環と捉えることが出来るかもしれません。


スピードが上がりやすい方がいいでしょうか。
アクセル踏み込んで、一気にトップスピードに跳ね上がる乗り物は制御が難しそうです。


大きな故障はしなくても、しょっちゅうエンスト起こす乗り物かもしれないです。


外観はどうでしょう。
何色がいいのか、他の台から見てカッコイイ方がいいかもしれませんね。けれど、他からの見た目に腐心するあまり、そこから見える美しい景色や珍しくて面白い光景を見逃すかもしれません。


内装や座席の座り心地はどうでしょうか。
飾り一つ無い、殺風景な内装は心がトゲトゲしそうです。長く旅をともにする快適なシートもとても重要です。けれど上に書いた通り、それに執着し過ぎれば、観光そのものがグダグダになりかねません。




さて、「人生」という旅の真っ只中にある、「自分」という乗り物について書いてみました。

人生において、なぜバランスがこれほど重要なのか、また自分の執着の性向と度合いについてもバランスがとても重要になってくるのだと、とても簡単に想像出来ると思います。

速過ぎても遅過ぎても、通常の楽しみからは逸脱してしまい、周りの人たちとの協調を保てなくなる可能性があります。

また、過度の「競争」が、余興ならまだしも「観光」という観点から見ればあまり面白くないのは明白です。

外観や内装に執着するのも、一定レベルまではある程度の世俗性として必要になりますが、度を超えてしまえば害悪でしかない。

たくさんの乗り物が行き交う大路では、順番待ちやすれ違いの際のマナーやルール、集団でのドライブを楽しむのに必要な知識やセンスもあるでしょう。


おれは、おれという乗り物は、外観に無頓着で、内装にも無頓着で、けれどシートの座り心地には異様に執着があり、スピード制御は雑でコントロール精度も甘い、他の乗り物を抱え込めるだけの器の大きさも無い、多少は頑丈なのが取り柄の、そんな乗り物だなぁと書いてて想像しました。



「自分」という乗り物の"性能"を考え見つめ直すのは、長期的に見れば「人生」という観光にとても有意義なことかもしれないと思いました。