Negative Finder

気づいたり、再確認したり、思いついたこと書くスペース。日記兼用。

甘味料のこと

純粋な好奇心と猜疑心から、人工甘味料のことが気になっていたので少し調べてみた。誰に有益な情報なのかさっぱり判らないが、雑学ネタ程度にはなるかもしれない。


…のだけど、化学的知識、歴史学的知識、あるいは医学的知識に乏しい自分に、このテーマに向かい合うキャパシティは無いのではないか。痛感せざるを得ない。

とりあえず、まずは問題提起だ。
数ヶ月前だったか、去年だったか、友人と話していて出てきた疑問。簡単に言えば、「カロリーゼロ、カロリーオフの飲料や食品って、なんか単純に不味くねえか?」ということだ。

カロリーゼロということは、すなわち、「生きた身体が、その成分を養分として吸収しない」ということを意味する。だからこそカロリーゼロとかオフになるわけで。んで、基本的に「甘味」っつーのは糖分摂取の営みを円滑に回すために必要な性質であり、摂取した糖分は脳の働きを補助したり、身体を動かす熱量になったりするわけだ。炭水化物全般が分解された時、「熱量」のための糖分に変換されて、余剰分は体外に排出されるか、脂肪に変化し体内に蓄積される。これがざっくりとした基本的な理解。

んで、この基本理解に対して、「カロリーゼロを実現する人工甘味料」ってのは、ものすごく不自然な在り方だと思うわけだ。本来カロリー摂取のために必要な、「甘味」という性質を、「カロリー摂取と熱量の生産」という主目的をくり抜いて抽出してしまったのが、つまり「人工甘味料」ってことなのではないか。結論すれば、これだけで十二分に「不気味」な感があるんだけど、どうだろう。

でもまあ、これだけだと煮詰まってしまうので、とりあえず、以下にwiki先生を頼りつつ、ざっくりと甘味料について俯瞰してみることにする。


まず、甘味料は天然由来(人工に合成されるものもある)の甘味料としての「既存添加物」と、人工の「合成甘味料」に大別される。よく、色んな添加物表示に見かける横文字を羅列してみる。つうか、普段から横文字がいっぱい表示されてるの見かけるけど、おれにはどれがどれなんだかさっぱり判ってない。調べてみて、改めて自分は無知だなとつくづく痛感する。

●既存(従来からの)添加物

スクロース(≒砂糖)
ショ糖。砂糖の主成分。グルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)の結合物。これの大きく結晶化したものが「氷砂糖」と呼ばれる。

・ソルビトール
グルコースを還元したもので、植物由来の糖アルコール。歯磨き粉なんかに使われてる「ソルビット」も同義。けっこう医薬品・医薬部外品に使われてるの見かける。

カバノキより抽出した甘味料。語源はギリシア語の「木(xylon)」より由来。周知の通り、非う蝕性があるため、虫歯を起こしにくい甘味料と言われている。

・トレハロース
ブドウ糖の化合物で、元々はゾウムシの生成する成分から分離していたが、近年岡山県の企業がデンプンから安価で大量生産する技術を確立した。保水性が高く、食品や化粧品に幅広く利用されている。

南アメリカ原産のキク科ステビア属の多年草。ここに含まれるステビオシドが甘味成分のため、甘味料として用いられる。


んで、ここからがおれが気になっていた人工(合成)甘味料の話だ。

●合成甘味料

スクロースを基に開発された人工甘味料。砂糖・ショ糖の約600倍の甘さを持つ。砂糖のように体内で炭水化物として消化・吸収されないため、実質のカロリーはゼロ。非う蝕性のため虫歯の原因になりにくく、代謝・分解にも影響しにくく、血糖値やインスリン値にも影響しない。また耐酸、耐熱、耐光性に優れ、長期保存性がある。食品への微量添加により、辛み・乳感・コク・深みなどの増強効果があるとされる。スクロースの化学結合の一部を塩素置換したもの。

砂糖の200倍の甘さを持つ。非う蝕性。他の甘味料と併用した際に甘味が15〜40%程度増強される効果がある。またフレーバーエンハンス(風味強調)効果があり、チョコ・コーヒー・ココア・紅茶などに微量添加すると風味が引き立てられる。

砂糖の100〜200倍の甘味を持つ。摂取されたうちの大部分は代謝・分解を受けずに体外へ排出される。摂取量の約10%は腸内でメタノール、アスパラギン酸、フェニルアラニンに代謝分解される。

カロリーゼロ。砂糖の200〜700倍の甘味と、痺れるような刺激のある後味を持つ。サッカリン自体はほとんど水に溶けないためチューインガムなどにしか使われないが、水溶性のサッカリン酸ナトリウムが様々な加工食品に用いられる。歯磨き粉・うがい薬など口腔に含む医薬品・医薬部外品などにも使われている「安息香」の主成分。ダイエット飲料にもよく使用される。

・ズルチン
砂糖の250倍程度の甘味を持ち、戦後に人工甘味料として大量使用されたが、幼児が5gを舐めて死亡、老人などがぼたもちへ利用し死亡など、中毒事故の多発と、肝機能障害や発癌性などの毒性が認められたため、現在は食品への添加が禁止されている。

・紫蘇糖
ペリルアルデヒドスクロースの2000倍の甘味を持ち、香料の鋭さを増すために利用されることがある。

・チクロ
砂糖の30〜50倍の甘味。発癌性・催奇形性の疑いが出たため、1969年に各国で食品への添加が禁止されたが、その後危険性を否定する研究結果も数多く提示されたため、現在でも利用されている国が多数あり、各国ごとの食品行政の対応が異なり、しばしば輸入食品回収事件の原因となっている。

砂糖の7000〜13000倍ほどの甘味を持ち、現時点で認可されている合成甘味料のうち最も強い甘味を持つ。フェニルアラニンを有するが、代謝後は微量のメタノールなどに分解。


よし。ここまで書くのにだいぶ疲れた…。
リンク貼れよって話だが、やっぱりテキストは一覧性があった方がいいと思うのが個人的意見。あと自分の知識にもなるし。つーか、「スクラロース」優秀過ぎるんじゃねえか?書いてて、「砂糖とか要らなくね?」って何度思ったことか。


んで、上に書いた話の続きなんだけど、人工甘味料の多くは、分解や代謝を受けずに、体外に排出される。言い換えれば「身体が求めていない成分」ということだ。つまり、やっぱり目的は「甘味」なんだよね。カロリーではなくて。ここに対する異常な執着を感じる。「カロリーを排除した甘みを!!」って感じの。砂糖で本当に間に合わないんかな、って疑問が湧いて仕方ない。

で、ここからはただの個人的な感覚の話なんだけど、おれは缶コーヒーよく飲む。どっかで書いたけど、缶コーヒーはふつうに砂糖が使われてるけど、これが「微糖」になると、この合成甘味料に置き換わる。友人と話した「不味くね?」ってのも、主に「微糖コーヒー、劇的に不味くね?」ってところから発展した話だ。


「なんで?」って部分が、完全に個人的な感覚に依存する話になるため、説得力に欠けてしまうけれど、やっぱり「身体が求めてない成分を使ってるから」としか言いようがない。この「不味い/不味くない」は個人的な感覚の範疇なので、「良い/悪い」とか、そういうことは全く言えないのだけどさ。なんつーか、すごく「不気味」な気がするんだよなー……。



余談だけど、砂糖には長い歴史があり、古くはシルクロードにて交易された胡椒や塩などと同じ「スパイス」としての一面がある。


スパイスについて語るということは、歴史を語ることに限りなく近い。現代のように冷蔵庫があるわけでもなく、食糧の大量・長期の保存にスパイスは不可欠(厳密には胡椒などの防腐効果はそこまで強力ではなかったらしいが…)で、必然的にクローブナツメグ、胡椒やジンジャーなどの香料やスパイスは交易の中心商品だった。地域間の気候の差によっては、公衆衛生や「個人的な体臭」も切実な問題となり、盛んな交易にいっそう拍車をかけたに違いない。香料やスパイスを安価に大量に手に入れるためにこそ、熾烈な貿易争いが発生し、大航海時代の大きな因子となり、香辛料生産国への侵略・支配行為、および帝国主義の台頭へ密接に結び付いていく…という考え方だって、歴史の1つの読み解き方なんじゃないか。


少し脱線したけど、つまり「スパイスには、国を動かすだけの日用的な必需性と中毒性が多少なりともある」ってことだ。

関連する、塩分・糖分の摂取過多や、生活習慣病、また味覚の減退の話だって、大枠ではこの「日用性/中毒性」に収斂するような気がする。

日用性/中毒性があるから量が偏る。
量が偏れば健康被害は免れないので、さてどうしようかってテーマが発生する。
その答えの1つが、「味質そのものの強化」、つまり砂糖など既存添加物の数十倍〜万倍の甘味質を持つ「人工甘味料」ってことになるのだと思う。


「どうして身体が求めていない成分」を求めるのか、それを考えてくと、たぶん「人間って執着の塊だけどホントにどーすりゃいいの?」って問いが生まれてくるんじゃないか。

たぶんさー、これ味覚の話に限らず何にでも転用出来る疑問だと思うんだよね。

たとえば、「子孫繁栄のための生殖機能と、肥大化する性的欲求」の話とか。「経済活動としての労働と、人生のやりがい・生き甲斐」の話とかさ。「元々の主目的」と、「それを継続していく実感レベルでの満足や達成感」が、どんどん乖離していくって法則でもあんのかね。人間ってのは。


だから、きっとこの些細な疑問は「人が足るを知る」ための小さなヒントみたいなものなんだと思う。


追記:
友人から「マジレスすると糖尿病患者の人のたにある」という言葉をもらった。そうなんだ。そんな超強力なロジックがあるなら、おれみたいな門外漢が疑問を差し挟むのは無粋なんだろうな。